Nicholas & Kinga |
世界を忙しく飛び回る売れっ子だっただけに
日本でも東京と大阪をはじめ、各地で数えきれないほど公演をしています。
キンガほどのダンス・テクニックと華を持つマジシャンのパートナーは
世界中探してもあまりいないと思います。
観客を一瞬で虜にしてしまう、一流のエンターテイナーです。
ペン&テラーと同じで、ニック&キンガ(ニックはニコラスの愛称)も
どちらかが欠けては成り立ちません。
ニック&キンガの自宅で子供(2歳半)を寝かしつけた後、
ウィスキーをチビチビ飲みながらのインタビューでした。
いつものように、気づけば普通のおしゃべりになってしまいましたが、
マジシャンやアシスタントが聞いてためになるような内容を拾って書き出してみました。
Q マジシャンのアシスタントをしている人(またはしたい人)に何かアドバイスがあれば教えてもらえる? 本当は、キンガのことをアシスタントって呼ぶのは不本意なんだけど。
キンガ)アシスタントって呼ばれても全然構わないよ。えっとね…(しばらく考える)あれ、何を言おうとしたか思い出せない。
ニック)彼女が考えてる間に、マジシャンからの意見を言ってもいい?
キンガ)最初から恋人同士じゃなかったのが上手くいった理由の1つだって言いたいんでしょ?
ニック)いや、それじゃない。
キンガ)でも、それもすごく大事なポイントだよね。
ニック)キンガが素晴らしいパートナーだった理由は、お互いの役割をしっかり理解していたこと。マジックは僕の仕事だけど、ダンスや体の動かし方については、僕はド素人だ。イリュージョンの視覚的な効果やショーに合う音楽を考えるのは僕の仕事だったけど、ショー全体の雰囲気とか見た目は全部キンガが決めたんだ。
キンガ)そのとおり。例えば、レストランはシェフだけじゃ成り立たないでしょ?
スーシェフもいれば、お皿を洗う人もいる。それと同じ。自分もマジシャンになって、ショーのマジックの部分に口を出したいとは全然思わなかった。お互いの領域に足を踏み入れることがなかったから、ライバル意識が生まれたりすることもなかったしね。
Q (ニックに)キンガと一緒になる前、マジックに口出ししてくるアシスタントと仕事したことはあった?
ニック)僕はなかったけど、そういう例をたくさん見てきたよ。マジシャンとアシスタントが、ほとんど競争してるみたいな。
キンガ)そうそう。「私なしじゃショーが成り立たないのよ!」なんてね。それはそうだけど、だからといってアシスタントがマジシャンとしてステージに立つわけじゃないんだから。
それから、私にとってラッキーだったのは、最初からニコラスと恋人同士じゃなかったこと。彼氏や夫がマジシャンだからという理由で、本当はあまりやりたくもないアシスタントをしてる人もいる。「他の女の子に彼のアシスタントをやらせるくらいなら私が…」ってことで。「あーあ、彼が他の仕事してくれてたらよかったのに」って。私はそういう思いをしたことは、幸い一度もない。
ニック)まあ、そういう状況になる理由はわからないでもないよね。マジシャンはしょっちゅう世界中を回ってるから、彼女や奥さんが一緒に行きたいと思うのは当然だよ。
Q それじゃあ、アシスタントの皆さんへのアドバイスはズバリ…
キンガ)自分の仕事を楽しむこと。楽しくないなら、楽しくなるよう何かしてみること。
それから、たとえマジシャンと喧嘩しても、舞台を台無しにすることで復讐したりしないこと。それをやると、二度と仕事こなくなるから(笑)。そういう例、いくつか見てきたよ。
Q アシスタントはダンスレッスンを受けたほうがいいと思う?
キンガ)そうねー、でもまあ、ショーの内容にもよるけどね。何にしても、一番大事なのはステージプレゼンスだよね。
注:「ステージプレゼンス」は日本でも使われる言葉かな?と思って検索してみたら、そういう名前の競走馬の情報ばかりでした。 意味は、「ステージでの存在感」てとこでしょうか。「華がある」ってやつです。
ニック)マジシャンは、たとえアシスタントのほうが自分より華があっても嫉妬したりしないこと! そういうアシスタントに恵まれたらラッキーだと思って最大限に利用しなくちゃね。
Q ハンガリー人ってことで、ヨーロッパでの仕事を多く取れた?
キンガ)それはなかった。私がハンガリー人だってこと知ってる人、あまりいないと思うよ。
Q キンガっていうのはハンガリー人独特の名前じゃないの?
キンガ)ポーランドでも聞く名前だよ。ハンガリーとポーランド。
奈良の鹿とキンガ |
キンガ)もちろん! 思いつく限りのアクシデントは全部、経験済み!(笑)
Q ニック&キンガの日本好きをよく知ってるだけに愚問だけど、仕事で日本に行けなくなって残念?
キンガ)それはもう。初めて日本に行った時は、カルチャーショックが強すぎてなじめなかったの。ハンガリーと日本は全然違うからね。でも2回目からはもう大ファン。中毒みたいな感じ。ニックと出会う前に、日本にはもう4〜5回行ってたよ。
Q いつ頃の話? 1980年代?
キンガ)1990〜1993年の間。
Q ダンサーとして?
キンガ)そう。浅草の花やしきに出てたの。30分のホラー仕立てのダンスショーみたいなのがあって、あの世からよみがえったエルビスがお墓から出てきて歌ったり、ヘビをからませた美女が踊ったり。 なかなかいいショーだったよ。楽しかった。
Q 一番好きな日本食は?
キンガ)一番はうどん。お好み焼きと焼きそばも好きだけど、一番はやっぱりうどん。スープが大好き。
ニック)僕は寿司とカツ丼。うな丼も。
Q 一番嫌いな日本食は?
ニック)納豆?
キンガ)魚の目玉。花やしきの仕事の帰り、舞台の裏方さんが魚のアラをビニール袋に詰めて持って帰るのを見たの。その袋の中に入ってた魚の目玉が私のほうをじっと見ててゾッとした。今でも覚えてるよ〜。あと、目玉焼きがのってるピザを見たときは笑った。海苔とかコーンとかのってて、日本のピザはおもしろいよね。
Q 一緒に仕事した日本人マジシャンは?
キンガ)ジョニー広瀬さん、深井さん、小野坂さん、テンヨーのタムラさん(名前が間違っていたらすいません)、他にもたくさん。みんなすごくいい人たちで、大好き。
Q 最後に、アシスタントからマジシャンへのアドバイスは?
キンガ)正しいタイミングでキューを出すこと! 聞こえるようにキューを出すこと! アシスタントの準備ができてないのに(イリュージョンのフタやカーテンを)開けないこと!
とにかく、一番大事なのはマジシャンとアシスタントのコミュニケーションだね。
********************************
インタビューの間じゅう、ベビーモニターから
寝言ならぬ寝歌がしょっちゅう聞こえてきて、カワイかったです。